ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは7月31日、2018年4~6月期決算会見を開き、PB(プライベートブランド)「ZOZO」の今後の戦略を発表した。8~9月にかけてネクタイ、無縫製のニット、長袖Tシャツを順次発売する。10月以降は女性用スーツ、コート、防寒用のインナーなどを展開していくという。

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●PB製品を拡充

 ネクタイは採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」で体のサイズを計測しなくても、簡単に注文できるようにする予定。長さや幅を変えて1商品当たり35サイズをそろえ、多様な体形に対応していく。

 ニットは3D裁断を採用してフィット感を高め、肌に触れている部分がかゆくならない着心地にする。長袖Tシャツは、袖の長さを1センチ単位で調整可能にし、袖が余るケースを防ぐ。

 女性向けのスーツはセットアップで販売し、フルオーダーメイドとする。同社の前澤友作社長は「男性用スーツを発表した際、『フルオーダーではない』などの批判を受けたが、事実と異なる。メンズ・レディースともに、顧客一人一人に合わせた型を作り、スーツを仕立てていく」と強調した。

 男性用のインナーはネクタイと同様、ZOZOSUITで計測しなくても買える仕様を検討している。

 前澤社長が公式Twitterで発表済みだが、PBでの靴やブラジャーの販売も目指す。すでにアパレル業界での経験を持つ商品開発担当者の中途採用を始めており、足やバスト周りの計測技術は実用化のめどが立っているという。

●男性用スーツの販売状況は?

 前澤社長によると、7月3日に発売した男性用スーツは7月31日時点で2万2459セットを売り上げたという。発売当初は価格を上下セットで2万4800円(税別)に設定しているため、売上額は約5億円に上る。

 「猛暑の中でもスーツが売れている。秋口になって涼しくなると、もっと売れそうだ」と前澤社長は自信を見せる。「生地はネイビーの無地とヘリンボーンが売れている。シャツは白が人気だ」という。

 需要が急増しているスーツだが、現在は生産中で、発送は10月頃を予定する。前澤社長は今後の生産体制について、「実績が出始めたことにより、提携する工場で大きな製造ラインを確保できる状況になった。生地が不足することや、生産が後手に回ることはないだろう」と語った。

●PBへの投資を既存事業でカバー

 ただ、男性用スーツの販売結果が反映されていない18年4~6月期決算では、PB事業単体での売上高・商品取扱高はともに1億1300万円だった。

 また、新型ZOZOSUITの配布などの広告宣伝費、旧型ZOZOSUITの処理費、エンジニアなどPB関連スタッフの人件費――などがかさんだ影響で、PB事業単体での営業損益は30億6000万円の赤字だった。

 「コストはほぼ出し終わった。第2四半期以降は大規模なコストを計上することはないだろう」と予測するが、PB事業は通期での黒字転換は難しいという。

 今後はアイテムを立て続けに投入するほか、ZOZOSUITの消費者への浸透を見込むため、PBの年間取扱高は18年7~9月期に15億円、 10~12月期に77億円、 19年1~3月期に107億円に増加すると予測。前澤社長は「簡単ではないが、この程度はやらないといけない」と意気込む。

 PBの営業赤字が足を引っ張ったものの、「ZOZOTOWN」などの既存事業は好調だったため、18年4~6月期の連結業績の売上高は前年同期比23.8%増の265億5200万円、営業利益は26.4%減の58億7400万円、純利益は24.7%減の41億6300万円で着地した。

 通期業績は売上高が49.3%増の1470億円、営業利益が22.4%増の400億円、最終利益が38.9%増の280億円のまま据え置く。

●ZOZOSUITの“ゲリラ配布”も視野

 前澤社長は「ようやくZOZOSUITを既存顧客に配り終えたため、今後は新規顧客獲得に生かしていく。街中でZOZOSUITを“ゲリラ配布”するかもしれない」と計画を説明。

 「ZOZOSUITのユーザーはPB商品を多く買う傾向があるが、ZOZOTOWN加盟店の商品も買っていただけるよう工夫しつつ、プロモーションも仕掛けていく。第2四半期以降、当社はZOZOSUITをフル活用する」と前澤社長は展望を語った。

スタートトゥデイがPBを拡充する


(出典 news.nicovideo.jp)


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